無言電話につきまとい…―だけど彼には相談できなくて… (ページ 2)

助かっ…

ピンポーン

ピンポーン ピンポーン…

狂ったようなチャイムと扉を叩く音が部屋に鳴り響く。

「莉子ちゃん!莉子ちゃん!開けて!莉子ちゃん」

怖い…どうしよ…

たすけて…

夏樹くん…

心の中で何度も繰り返し彼の名前を呼んでいたら、偶然にも手の中に握りしめたケータイが震えだした。

夏樹くん…

「もしもし?思ったより仕事早く終わった。今なにしてんの?会える?」

電話越しに聞こえる愛おしい声。

『あ…夏樹、くん…』

「どした?!なにがあった!?」

『ううん、何も、ないよ…』

普通にしなきゃ…せっかくずっと隠してたのに…

「今どこにいんの?」

『家…』

「待ってろ、すぐ行くから」

夏樹くん、来てくれるんだ…

気付けば激しく部屋に鳴り響いていたチャイムの音も扉を叩く音も消えていて、代わりに、扉越しに愛おしい声が聞こえる。

「莉子!開けて!俺だよ!」

扉を開ければ、肩で息をする夏樹くんが立っていた。

『夏樹くん』

安心したのか、体からフッと力が抜けた。

「莉子ッ!」

『ごめん…』

崩れ落ちた私を支える夏樹くんの視線はビリビリに破れたストッキングへと落ちる。

目を見開いて固まる彼に上手い言い訳も見当たらない。

「ごめんじゃないだろ、何があった?」

『なにも、大丈夫だから』

「なんで…俺ってそんな頼りない彼氏…?」

あまりに切ない声で話す夏樹くんに、私は全てを話すことに決めた。

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