無言電話につきまとい…―だけど彼には相談できなくて…

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無言電話につきまとい…―だけど彼には相談できなくて… (ページ 1)

プルルル、プルルル…ツ-ツ-

プルルル、プルルル…ツ-ツ-ツ-

毎日、嫌がらせのように何百回と鳴り響く電話

ろくに眠れない夜が続いて心も体も限界だった。

“この先何があっても守るから”

“隠し事は無し、俺にはなんでも話すこと”

付き合った頃に言ってくれた夏樹くんの言葉が頭の中をリピートする。

言いたいけど、言えない。

きっと心配かけちゃうから。

夏樹くんだから、言えない。

でも、こんな日があと何日続くの?

あとどれくらい耐えればいいの?

夏樹くん、会いたいよ…

夏樹くん、たすけて…

よく眠れないまま仕事に行って、疲れ切った体で夜道をひとり歩いていた。

今日も家に帰ったら電話の嵐だろう、そう思うと足取りもどんどん重くなる。

数十メートル先に家が見えてきて思わず大きな溜息をついた、

その時だった。

「莉子ちゃん」

『ひっ、いやぁ』

いきなり後ろから抱きしめられて、吐息を感じる距離で背後の男が囁いた。

全身に鳥肌が立つ。

「莉子ちゃん、好きだよ」

『や、めッ…』

抵抗しようとしても男の力には敵わない。

味わったことのない恐怖に上手く声も出ない。

「なんで電話に出てくれないの、ねぇ」

電話…あ…

この人だ、毎日電話をかけてくるストーカー…

「はぁ…いい匂い…」

『ひっ‼︎…』

顔や首に吹きかかる息。

ストッキング越しに太ももを撫で回す大きな手。

気持ち悪い…やだ…やだ…

「これ、邪魔」

ビリビリという音を立てて破かれたストッキング

『!?』

このままじゃ…

誰か…誰か…

渾身の力で抵抗して、なんとか自分を抱きしめていた腕を振りほどいて走った。

「待ってよ莉子ちゃん」

『やっ、』

後ろに聞こえる足音から逃げようと無我夢中で走った。

あと少し、あと少しで家に着く…

急いで鍵を開けて中に入り鍵をかけた。

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