消極的な彼氏。優しいけれど煮え切らない、そんな態度に不満を募らせて…
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消極的な彼氏。優しいけれど煮え切らない、そんな態度に不満を募らせて… (ページ 1)
その日はサークルの飲み会だった。
二次会が終わり、皆へろへろに酔ってきた頃。
私は同級生であり恋人の桜井君にそっと声をかけられた。
「この後、どうする?」
他のメンバーは三次会に行こうなどと話し合っている。
「千歳さんも大分酔っているみたいだし、家まで送ろうか」
桜井君は、こういう優しい男性なのだ。
もちろん嬉しいけれど、たまにそれが物足りなく感じる時もある。
例えば、今日みたいな日なんて、酔った私を介抱する振りをしてホテルや自分の家に連れ込んでもいいと思うのだけど。
別にこれは私が性に対して特別積極的という訳ではなくて、桜井君が消極的過ぎるのだ。
付き合って一年も経つというのに、セックスだって、片手で数えられるほどしかしたことがない。
「桜井君は、私とえっちなことするの、いやなの?」
悶々としていたら心の声がつい言葉に出てしまった。
桜井君はびっくりした様な顔をして、それからお酒で赤くなった顔を、さらに赤く染め上げて、困ったように笑った。
「嫌なわけないよ、僕、千歳さんの肌とか触るの好きだし」
確かに彼は私とよく手を繋ぎたがる。
けれどそれ以上のことはしようとしない。
だから誘うのはいつも私から。
「千歳さんは、もっとしたいの?」
そういう希望を出したことは一度もなかった。
あまりにも普段の彼が完璧すぎて、そこまで求めるのは少し高望みのような気がしていた。
「あのね……千歳さん、僕ね前からしてみたいことがあったんだ」
頬をかきながら、桜井君は小さな声で申し訳なさそうに言った。
「してる所、撮ってもいい?」
嬉しかった。
桜井君の性癖は良く分からないけれど、自分から私の体に性的な関心を持ってくれているなんて。
「桜井君のお家でいいなら」
そう呟くと、彼は照れたようにはにかんで、私の手を取った。
私はその繊細で愛おしい手をきゅっと握り返した。
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