「お嬢様の願いなら、何でも叶えます」2人だけの合言葉で豹変する送迎係の献身
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「お嬢様の願いなら、何でも叶えます」2人だけの合言葉で豹変する送迎係の献身 (ページ 1)
漆黒のアウディがコンビニの駐車場に入ってくる。
わたしを迎えに来た車。
大学生にもなって送迎されるのは嫌だけど、それが進学の条件だったから仕方ない。
一度、誘拐されかけた娘に対して両親が過保護になるのも頷ける。
わたしは立ち読みしていたファッション誌を棚に戻し車を目指した。
「おかえりなさいませ。千星お嬢様」
運転席から降りてきた人が、さっと後部座席のドアを開ける。
「ただいま」
そう言うと涼やかな微笑みが返ってきた。
運転手の利人さんは、わたしが10歳の時に送迎係としてうちにやって来た。
四十歳に近いのに、引き締まった体をキープしているのは、利人さんが警護係も兼任しているからだ。
利人さんはわたしを守ってくれる人。
そして、わたしを自由にしてくれる人。
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