うたた寝していた私が目覚めると、待っていたかのように私の口の中に舌が入り込んできて…。
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うたた寝していた私が目覚めると、待っていたかのように私の口の中に舌が入り込んできて…。 (ページ 1)
「あ…お疲れ様です」
「あー、ども。係長っすよね、たぶん今、打ち合わせ中じゃないかな」
時刻はお昼12時すぎ。
ちょうど取引先のビルの入り口の自動ドアを抜けた先にあるエレベーターで、エレベーター待ちをする高雛さんと出くわした。
高雛さんは取引先の経理担当の方。
対する私、泉は商品開発部であり、本日は月一で実施している商品の不具合等ヒアリングのために取引先へやってきた。
「あ、お約束は14時からなので、単に私が早く来すぎてしまっただけで…」
「そうなんすね。あの人たち基本話長いんで、だいぶ待つことになるかも」
彼の名前を知ったのは、情報共有としてCcに名前を入れて欲しいと業務担当から言われたのがきっかけだ。
それからは、電話を取り次いでもらう時に偶然高雛さんが電話に出たりだとか、こうやって打ち合わせに来た時に顔を合わすくらい。
彼との接点はこの程度だ。
「うちの会社、待つところないんで、係長には伝えとくしよかったら休憩室どうぞ。業務時間内なんで誰も来ないっすよ」
「お気遣いありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます」
私よりたぶん5つぐらい年下だろうか、若いのに仕事ができる奴だと私の担当者も言っていた。
正直、昼とはいえ冬間近のこの時期に、廊下で待つのは寒くて辛いと思っていたところだった。
ありがたくも休憩室を開けてもらえるとのことで、私は内心ホッとしていた。
「そこに座布団とかもあるんで、適当に寛いでください。係長打ち合わせ終わったらそっちに行くよう伝えとくんで。」
ちょっとぶっきら棒だけど、なんて気の利く若者なんだろう…うちの会社の新人とはえらい違いだな、なんて思いながら…。
月一回の打ち合わせの時に高雛さんに会えるのが、私のちょっとした密かな楽しみなのである。
「目と心の保養終了」
なんちゃって。
お言葉に甘えてお座布団を敷いて、暖房で温まりながらしばらく打ち合わせ相手を待つことにする。
駅からここまで15分。
寒空の下を歩いて来たので、冷えきった体に暖房の温もりが心地よくて…。
「ん…」
しまった、少し寝てしまったのか…。
微睡の中、ぼうっとする頭で思う…。
だけど、何か体に違和感がある…。
心地よくて、だけど鈍い、どちらかと言えば体が少しむずむずするような…。
そんなことを考えながら薄目を開けると、なぜか私の目の前にはあり得ない光景が…。
「え、高雛…さ、…」
「やっと起きたんすね……」
私の目の前には高雛さん、そしてその後ろには天井…。
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