年下ホストにエレベーターで切なく獰猛な告白をされて…見えなかった両想い (ページ 4)
「ずるい!…こんなことされたら、気持ち抑えきれなくなる」
『友営』をお願いしたのは、本気で好きにならないため。
「私だって…カイ君に一目惚れしたんだよ?」
「え…じゃあ…」
カイ君が何かを言いかけた時、エレベーターの下降がゆっくりになった。
一階に着く。
私は自分勝手な腕の中から抜け出した。
チンと音が鳴ってドアが開く。
踏み出したら、淀んだ夜の街の空気がまとわりついてきた。
「待って、リコちゃん」
カイ君が私の前に回り込んだ。
「これ、俺の家の鍵。住所すぐ送るから。先に帰ってて。絶対だよ」
「待って…」
そう言ってもカイ君は待ってくれず、背中を眺めるしかなかった。
手のひらに残された鍵が、体温で熱を帯びていく。
私は迷いながらも、駅に向かった。
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