足を怪我したドSな彼に看病という思いもよらぬ焦らしプレイを仕掛けられる (ページ 2)
商店街までとは言わずともせめて雨宿りが出来る所まで…と走り始めたが、その時わたしは雨露に濡れた芝に足を滑らせてしまった。
「うわ…っ」
「!」
衝撃に備えて身体に力が入ったがいつまで待ってもそれは訪れず、恐る恐る瞼を開けば彼がわたしの下敷きになっていて…
なんともないと言う彼を無視して慌てて病院に連れて行くと、響の足は折れてまではいなかったがヒビが入っていたのだった。
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「僕がいなくて寂しかったでしょう」
疑問形、ではなく断言してくる辺り全くタチが悪い。
そんな事言わなくても分かりきった事だろうに。
一週間程入院していた彼の看病はわたしがしていたので毎日顔は合わせていたが、やはりひとりで家に帰ると部屋がとても広く感じた。
こんなに長期間響が家を開ける事は今までなかったから。
そうやって考えると、彼の存在はわたしの中ではとても大きなものだと再認識した。
ソファまで連れてきて、ゆっくりと座らせる。
きちんと腰を下ろした事を確認してから、わたしは荷物を片付けに向かった。
けれど腕を掴まれた事によってそれを阻まれ、振り返れば彼はこの場に似つかわしくないような笑みを浮かべている。
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