意地悪で冷たい欲望しか感じられなくとも自ら囚われる快楽の練習
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意地悪で冷たい欲望しか感じられなくとも自ら囚われる快楽の練習 (ページ 1)
「…今日も、練習宜しいですか?」
「あぁ。構わないよ。」
仕事が終わる夜の8時前。
歯科衛生士である私は、院長室の前にいた。
背もたれの大きな椅子に腰掛け、パソコンから目をそらさずに返事をした先生の横顔を見つめる。
緊張している私とは違い、冷静な態度。
それは、いつだって変わらない。
先生に気持ちを伝えたのは、今から約三ヶ月前のクリスマス。
入社したあの日からずっと好きだった私は、きっと先生に一目惚れしたのかもしれない。
切れ長な目に、スッとした高い鼻。
普段はマスクで隠れている唇は、薄いけれど形が綺麗で色っぽい。
どんな患者さんに対しても温かな態度で接し、優しく微笑む彼に、私の気持ちは痛いぐらいに膨らみ続けた。
―歯科医師と歯科衛生士。
言い換えれば、それは上司と部下のような関係だ。
周りに公表しにくい職場恋愛なんて、山ほどあるのは知っているし、別に悪い事だとは思わない。
寧ろ、普通な恋愛の一つにすぎないと思う。
羨ましい、そう感じるぐらいに。
だって…。
だって私達は…。
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