捻出してくれたデート時間すらも仕事に邪魔されて…寂しさ埋めるキスマーク

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捻出してくれたデート時間すらも仕事に邪魔されて…寂しさ埋めるキスマーク (ページ 1)

ついさっきまで、私はいい気分だった。

「な、な、うまいだろ?麻利絵に食わせたかったんだー」

とても久しぶりに浩太と会い、彼が学生時代に行っていたとかいう店でおいしい味噌ラーメンを食べ、彼が今夜宿泊するビジネスホテルに来た。

「ごめん。ここんとこ、もうほんと超忙しくて」

浩太は部屋に入るやいなや、ぎゅっと私を抱きしめた。

「明日、朝一で客先なんだ。で、そこがここから近いの。じゃ、麻利絵と泊まればいいじゃん!て思いついてさ。いい思いつきだろ?オレ、天才だろ?ツインなのは勘弁な、ダブル、無くてさ、ま、オレらには関係ないだろ?どうせいっしょに寝るんだし」

にこにことそう言っていた。

・・・のに。

「・・・うん、うん。・・・だいたいわかった。ひとつこっちの仕事片づけて、戻るわ。うん・・・その件の資料まとめといてくれる?うん、はーい、お疲れっ」

キスをしたり私の髪を撫でたりしながら通話していた彼は、途中から険しい表情になった。

撫でる手も、とまった。

「麻利絵。ほんとごめん、もうちょっとしたら、社に戻る。ちょっと、トラブル」

「えっ・・・。大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないけど、大丈夫」

「・・・そう」

「ありがとな。麻利絵はわがまま言わなくてかわいいな」

わがまま言わなくてかわいいなんて、誉め言葉じゃない。

お仕事だから仕方ないと思うだけだもの。

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