痴漢に手で口を塞がれ性感帯である首や耳、ナカも一緒に責められるいつもと違う通勤電車 (ページ 12)

帽子を深くかぶっているから、顔があまりわからない、いつもの人だ。

「おつかれさまです。今ハンコを……」

お持ちしますね。

とは続けられなかった。

「あっ……!」

開いた口が塞がらない。

帽子を取った彼は、意地悪そうに笑う。

「あんた、やっぱり気が付いていなかったんだ」

差し出された左手の人差し指に、噛み痕。

「俺、明日からバイク通勤なんだよね。だから電車は今日で最後」

「そ、そうですか……」

「最後だから、思う存分させて貰ったんだけれど」

彼は私に詰めよると、私のシャツの胸ポケットに何かメモのようなものを差し込んだ。

はっとして彼の顔を見る。

爽やかな出で立ちに似合う、さっぱりとした顔。

静かに近づき、私の額にキスをした。

「ぜんぜん、足りない。連絡待ってる」

(あぁ、もう……!)

再び熱を帯び潤んだ身体。

私だって、あなたが足りない。

-FIN-

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