契約でしかない愛人関係が終わる今夜、もう二度と戻らない幸せな時間を体に刻みつけて (ページ 3)
「真美、動いて」
私は言われた通り腰を前後に動かす。パチュパチュと淫らな音が耳に響く。
「んっ、啓介さん……、啓介さん」
うわごとのように彼の名前を呼びながら円を描くような動きに変える。啓介さんのもので私の中をグッチュグッチュと激しくかきまわし、自分の本能のままに快感をむさぼる。
啓介さんが手を伸ばして私の胸をわし掴みにした。ぎゅっと握られた乳房全体から弱い痛みが走ったけれど、それは甘いしびれになって、私の股間からさらに液体があふれた。
今度は腰を上下させて入り口から奥までを力強く擦る。
「はぅん! いいの! 啓介さん、もっと奥に来て!」
私がねだると啓介さんは下から腰を突きあげた。脳天まで衝撃が伝わる。
「きゃぁん! 深いぃ、ああ、きもちいい!」
「僕も気持ちいいよ。真美、コンドームをつけるから一度抜くよ」
「だめ! このまま、このままでください。奥にたっぷり出してください」
「真美……」
「啓介さんの赤ちゃんが欲しいの。もう二度と会えなくていいから、私に赤ちゃんをください」
啓介さんは目を細めて微笑むと下からガンガンと腰を突きげてくる。
「あん! あん! ひゃん!」
股間でぬめる水音は、じゅぶっじゅぶっと泡立つものに変わった。私は腰を回す動きに変え、啓介さんが打ちつける大きくて硬いもので体内の壁をこすっていく。体内のすべてに啓介さんの味を覚えさせたい。啓介さんの硬さを忘れたくない。
「いくよ、真美。君が欲しいものを出すよ」
「啓介さんっ……」
温かいものが勢いよく私の奥の奥、秘密の場所に注ぎこまれる。今まで知らなかった温かさが下腹部全体に広がる。
ドクドクと何度も脈打ちながら啓介さんの液体は私のために、私だけのために、あふれるほど注入された。
「ああ、啓介さん……」
私は身体を倒して啓介さんに口づける。これが本当に最後の口づけになるだろう。暖かく私を包みこんでくれる優しいキス。けれど。
「真美、新しい契約を結んで欲しいんだ」
信じられない言葉に私は耳をうたがった。
「でも、啓介さんは家族のために一年間で幼馴染のことは忘れるからって言ったのに……」
「僕はもう幼馴染のことはすっかり忘れられた。真美のおかげだよ。その代わり、僕は真美のことが忘れられなくなってしまった」
啓介さんはベッドサイドテーブルに置いてあったビジネスバッグから布張りの小箱を取り出し私に差し出した。
「妻とは別れた。真美、僕と結婚という契約を結んでくれないか」
私は小箱を受けとってふたを開けた。そこには私の誕生石、ダイヤモンドの指輪が入っていた。
「……はい!」
啓介さんは新しい契約の証として指輪を私の左手の薬指にはめてくれた。
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