あじわったことのない快感…優しく彼が教えてくれた開放の世界 (ページ 3)

 頬を寄せ、彼の体温に包まれると、こわばっていた全身から、少しずつ力が抜けていく。

「そう――、緊張しないで。リラックスだよ」

 優しく導いてくれるささやき。

 彼の指が手のひらから手首へ、さらにその上へと、杏子の肌に線を描くように動く。

 くすぐったい。ちょっと、ぞくぞくする。

 今度は耳元に、かすかな吐息を感じた。これはくすぐったいというより、ぞくっと背筋がふるえるようだ。思わず身をすくめてしまう。

 膝を撫でられ、両脚の間にそっと彼の脚が差し入れられる。

 優しく、やわらかく、けして強引に進んでこようとはしない。スキンシップとセックスの愛撫との中間くらいの彼の動きに、全身がゆっくりと溶かされていくみたいだ。

 気が付けば、杏子はソファーに横たえられ、ブラウスの釦も外されていた。

「心配しないで。今日は最後まではしないから」

「え……」

「でも、ここは、触ってもいいかな?」

 シンプルなデザインのブラの上から、乳房を包まれる。

「あ……」

「いや?」

「い、いいえ……。でも――わたし、胸、小さくて……」

 それはティーンエイジャーのころからのコンプレックスだった。

 紘一は器用にブラを外すと、あらわになった肌に唇を寄せた。

「とても綺麗だ」

 ちゅ、ちゅ、と小さな音をたて、白い肌をついばむ。けして痕など残さない。けれど彼の唇が触れた部分は、いつまでも熱を持ってじんじんとうずくようだ。まるでそこに何か熱いものが埋め込まれたみたいに。

 胸の先端を指先でつままれ、くるくると転がすように愛撫されると、そのうずきはさらに強くなった。小さな乳首が硬くなり、ぷつんと立ち上がるのが自分でもわかる。

「ここは――いい?」

 スカートがたくし上げられる。

 思わず閉じようとした膝を、彼の手が抑えた。そしてなめらかな内腿をすべるように撫でる。

「ん、あ……っ」

 ため息のような声がこぼれた。

 彼の手を、止められない。

 脚の内側のやわらかな皮膚を、ちょっとざらついた手のひらで撫で上げられると、それだけで背中がきゅっと反り返ってしまいそうだ。

 ――どうしよう。どうしたらいいの……。

 呼吸が乱れ、今まで感じたこともないものが、じわじわと体の中に広がってくる。腰が浮き上がり、その奥から熱いものが染み出してくる。

「あっ……、や、やだ、わたし……」

「恥ずかしがらないで」

 紘一が耳元でささやいた。

「感じてるんだね。可愛いよ」

 ――感じて、るの? わたし……。

「ほら、わかるだろ? ここももう、こんなに濡れてる」

 彼の指が、ショーツの上からそっと秘花を押した。

 その瞬間、今までよりもずっと鮮烈な感覚が、きゅっと全身を走り抜けた。

 しっとりと熱く湿ったコットン生地の上から、彼の手がそこをそっと包み込む。ふっくらと丸みを帯びた形は、まるで彼の手に合わせて作られたかのようだ。

 そこをそうやって覆われるだけで、まるで全身を抱きしめられているみたいだ。

 そう思ったのもつかの間、彼の指がショーツの隙間をくぐって、秘花へと侵入してきた。

「あ、や、あっ!」

「大丈夫。怖がらないで」

 小さな子供をあやすみたいに、紘一が優しくささやく。

「ほら、ね。痛くないだろ?」

 悦びの蜜に潤んでいたそこは、何の抵抗もなく彼の指を受け入れた。

 少し硬い指先がひそやかに重なり合う肉のひだをかきわけ、やがてその奥に隠れていた小さな突起をさぐりあてる。

「わかる? ここ――ここが、一番感じるとこ」

「え、え……っ?」

 その言葉どおり、今までとはくらべものにならない強い刺激が、杏子の全身を駆け抜けた。

「一番敏感なとこだから、そっと、そうっと、触らないとね。乱暴にしちゃ、だめなんだよ」

 ほんの小さな突起を、彼は、優しく、やわらかく、撫でる。円を描くように転がす。

「あっ、あ、や、そこ……、なに、これ……っ!」

 杏子は思わず声をあげた。

「ほら、ね。いいよ、イッてごらん」

「い、いくって……」

 彼に触れられているそこから、何かが一気にふくれあがる。腰が、体が浮き上がり、登っていく。

 つま先がふるえた。ぎゅっと背中が反り返る。

 その瞬間、体の奥で何かが花火みたいにはじけ散った。

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