帰りの満員電車でまさかの痴漢被害に?!恐怖と羞恥と快感が…

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帰りの満員電車でまさかの痴漢被害に?!恐怖と羞恥と快感が… (ページ 1)

私は就業時間を終えると一目散に荷物を片付けはじめた。

 どうしてって? それは私の帰りを大きな尻尾を振りながら待ってくれている愛犬がいるからだ。

 どうしても参加しなくちゃいけない飲み会でもない限り、普段からこの生活をしている。

 

 わくわくしながら片付けを終えると男性社員の後輩から声をかけられた。

「よしえセンパイ、おつかれっす」

「うん、守くんもおつかれさま~。じゃあまた明日ね」

 喜びも露わに手を振り、駆けるように社内を出た。

 清々しいまでの夕日と、肩の荷が下りるほどの穏やかな空気に安堵しながら最寄り駅まで歩き出す。

 これで長かった一日が終わる。

 あとは夕食を食べ、愛犬の大きな体に寄り添い眠るだけ。

(でもその前にコレを乗り切らないとね)

 私は満員電車に乗り込み乗車口付近で扉と向き合うような形で立った。

 胸を躍らせながらも、帰宅ラッシュ特有の慌ただしさにはついつい溜息が漏れてしまう。

 他人との密着感に僅かながらの嫌悪感を抱く。

 日常的なものだと理解はしつつも、自宅最寄り駅まで音楽を聴きながら気を紛らわせようと必死だった。

 この身に触れる暑苦しいほどの熱気と、時折吹きかけられる人の吐息が気色悪くて仕方がない。

 好きな音楽に聞き入り、大好きな愛犬のことを考えるだけの電車内。

 現実世界から逃避しているつもりだったが、二駅を過ぎたあたりで不意にお尻に変な感触があった。

(やっ……なに、これ…まさか、痴漢!?)

 何かを強く押し付けられているかのような感覚にギョッとする。

 私の反応に気が付いたのか、間髪入れずにスーツパンツの上からいやらしい手つきで更にお尻を撫でられたのだ。

 家に帰ることばかりを考えていたが、一度気付いてしまったら気をそらすことなどはできなかった。

「や、やめて……くださっ!」

 小さく声を漏らしながらも体を揺れ動かす。

 手を滑らせてしまったのであれば仕方がない。こうして自分が動くことで誤って触れてしまっていることに気が付くはずだと望みをかけた。

 だが抵抗を示す今回の行為は、その手が意図的に触れているのだと思い知らされるだけだった。

「それでも拒んでるつもり……ですか」

 皆が皆私の方へと手を伸ばしているようにすら錯覚をしてしまうのは満員電車だからなのだろうか。

「彼、待ってるんでしょ? いいんですかねぇ、こんなところで他の男に体を触られても」

 ますます密着してくる体。耳元に吹きかけられる吐息にくすぐったさを感じてしまう。

 その間も男の大きな手のひらにお尻は撫でられ続ける。

「そんなこと、どうして知って――!」

「あなたのことが好きだから。なんて言ったら気持ち悪いですかね?」

「はぁ? 意味が分からないわよ……! もしかしてストーカー?」

 小さな声でやり取りをしながらも私の怒りは明らかだった。

 素直に正体を明かすはずがないとは頭のなかでは分かっていながらも聞かずにはいられない。

 痴漢なんて……考えられない。

 こんな男の前で弱みを見せたらすぐにいいようにヤられてしまいそうだ。

「う~ん、オレは別にストーカーでも気持ち悪いと思われてもいいんですよね。あんたのことを手に入れられれば」

 甘く囁かれた言葉に不覚にも腰から力が抜けてしまいそうだった。

 色気あふれる声色に胸がざわついてしまう。

「……いいわけない!」

 そうはいいつつも、体だけは男を求めてしまっているような気分だった。

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