海外赴任が決まった先輩と心に残る思い出セックス (ページ 2)

「まだ、帰らないでくれるか?」

 仕事はほぼ片付いた。いつまでも会社に残っているわけにはいかない。

 でも。

 背後から優しく抱きしめられる。

 広い胸に包みこまれると、彼の体温、呼吸、鼓動がじかに体に伝わってきた。

 長い指が頬に触れ、振り向かされる。

 そして唇が重ねられた。

 ただ触れ合うだけの、優しいキス。

 が、それはすぐに、呼吸も声もすべてを奪い、吸いつくすような激しいキスに変わった。

 唇を軽く噛まれ、吸われる。わずかにあいた隙間から、和臣の熱い舌先が滑り込んでくる。

「んっ、ん、く……うぅっ」

 口中を思うさまかき乱され、晴香は思わず小さく声をもらした。

 それでも彼は離してくれない。さらに強く抱きしめ、融けるようなキスをする。

 息が続かない。頭がくらくらして、世界が波打ち、大きく揺れているみたいだ。

「ま、待って……」

 かすれた声で晴香は訴えた。

「待ってください。こ、ここでは……」

 小さく首を横に振る。

 今日で最後。お別れなのだから。

 最後で最高の、思い出が欲しい。

「――わかったよ」

 彼もうなずいた。

 体をいったん離して、あらためて晴香の手をとった。

「一緒にきてくれるか?」

 その言葉に、晴香は黙ってうなずいた。

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