私が先輩の「いい思い出」になる時、切なさを通り越えた幸福を知る (ページ 4)
自分の夢のためなら、中途半端な友情や恋愛は置き去りにできる人。
でもだからこそ、それ相応の結果を形として叩き出す人。
その背中に憧れて、勝手に好きになったのは私のほう。
「わかって、ます、でも、湊先輩が大好きです」
「うん、ありがとう」
「つきあう、とかじゃなくて、でも、応援してます」
「うん。ありがとう」
泣きながらなのでうまくしゃべれない。
それでも湊先輩は、優しく返事をしてくれた。
そして今度は、そっと唇にキスをする。
本当に短いキス。
唇の感覚を確かめようとねだっても、やっぱりかわされてしまう。
あんまり深いキスはしないんだろうとぼんやり思った。
そんなことしたら、情が揺らいでしまうから。
たぶん先輩じゃなくて、私の。
先輩はそのまま唇を私の首筋に這わせ、片手で胸を掴んできた。
「んっ」
緊張と興奮とアルコールのもやもやに体中が熱くなる。
コメント (0)