セクハラ患者から助けてくれた外科医にお礼をしにいったら…当直室で結ばれる恋 (ページ 7)
ベッドのある部屋までは、横抱き…俗に言う「お姫様抱っこ」をされた。
普段は患者さんを抱える側の私が、まさか先生にこんなことをされるなんて。
たった数歩の距離が、とても長いものに感じられた。
部屋の照明は消されていた。ベッド以外に、当直者が私物を入れる棚しか置かれていない。
でも、初めて入る室内を見渡す余裕なんてなかった。
私をベッドに下ろしてから、先生も覆いかぶさるようにベッドに上がる。
その姿から視線を逸らせなかったから。
こちらを安心させるように頭を撫でる手。
それが下におりて、両手で頬を包まれる。
顔中にいくつものキスが落とされた。
「恵」
「はい?」
「俺のことも下の名前で呼んで」
そんなこと出来ない。
ただでさえ勤務歴も年齢も下の私が、ドクターを名前で呼ぶなんて。
「呼んでくれないとエッチはお預けだよ」
その言葉に、改めて今の状況を自覚した。
当直室のベッドで、これから私達は…。
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