無理矢理強いお酒を勧められていた私を助けてくれたのは、バーのマスター。翌日、バーにお礼を言いに行った私は、マスターの前で素直な自分をさらけ出して・・。 (ページ 2)
「この近くに勤めてる人?」
「あ、私、晴夏と言います。」
カウンター越しに会社の名刺を渡す。
「あー、あのビルの中の会社ね。企画部か。それで、お得意様とウチに呑みに来たんだ。俺、高里です。よろしくね。」
気さくな笑顔のマスターには、どこか女性を安心させる雰囲気があった。
気が緩んだ私は、ついつい仕事の愚痴を話始めた。
「会社でも偉そうなオジサンが多くて嫌になっちゃうんですよ。昨夜、ここで課長さんと呑んだことも、同僚には、あんな課長さんと呑みにいく私に隙がある・・って、批判されちゃうし。」
私の愚痴を黙って聞いてくれる高里さんといると居心地が良かった。
「もうそろそろ開店時間だけど、ゆっくりしていって。何か飲む?」
高里さんと2人きりで過ごせる時間が終わると思うと、少し淋しくなった。
私のシュンとした顔を見て、高里さんは怪訝な様子で顔を覗きこんだ。
「晴夏ちゃん、どうしたの?急に元気なくなったみたいだけど・・・。」
「ううん。なんでもないです。」
開店して30分ほど経ってもお客が来る気配はなく、雨音だけが強くなっていく。
「・・・今日は、どうせ雨だし、客来ないかもね。もう少し、2人で飲もうか。」
高里さんは、手慣れた手つきでブルームーンを作ってくれた。
「アルコール、弱めにしといたから。」
「ありがとう。」
「毎日、仕事お疲れさま。」
私たちは乾杯した。
「彼氏とかいるの?」
「仕事、忙しいし。デートしてる暇ないから。」
「でも、社内に出会いはあるでしょ?」
「うーん。職場の男の人は、エリート意識高くて苦手かな。高飛車な人が多いし。」
「そっか。」
「高里さんこそ、こういう場所なら出会いが多いんじゃない?」
「若い女の子の相談に乗ることはよくあるけどね。だいたい恋愛相談。だから、俺は完全に対象外。」
「なんか意外・・。モテそうなのに・・・。はっ・・くしゃん。」
「大丈夫?雨の中歩いてきて、身体が冷えたんじゃない?」
高里さんは、カウンターを出て、ソファに置かれたひざ掛けを、そっと私の背中にかけてくれた。
「ありがとう。」
高里さんの手が肩に触れた瞬間、爽やかな石鹸の香りが漂ってきた。
「晴夏ちゃん、華奢な身体してるんだね。」
高里さんに優しくそう言われた瞬間、私の目から涙があふれ出した。
「私・・・昨日、課長さんの誘いに応じなかったし、契約取れなかったらどうしよう。」
高里さんは優しく私の肩を引き寄せ、背中をポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ。なんとかなる。」
私は高里さんの肩に抱きついてキスした。
「ちょっ・・・晴夏ちゃん。」
突然の出来事に、高里さんは驚いた顔で私を見つめ返した。
「触って・・・。」
「・・・・本当にいいの?俺で。」
私は、高里さんの肩に顔を預け、彼の右手に指を絡ませた。
「参ったな。」
戸惑った様子で高里さんは、私の手を握り返した。
「俺、こういうこと、久しぶりだから上手くできなかったら、ごめんね。」
「高里さん・・・。」
私は、高里さんの頬にキスして、首筋に唇を這わせた。
「晴夏ちゃんの唇、柔らかいね。」
高里さんは、私の頭を優しく撫でながら、シャツを脱いで、椅子に掛けた。
「あっ!!やべっ!!鍵かかってなかった。ごめん。ちょっと待ってて。」
私の額に優しくキスして高里さんは、鍵をかけるためにドアに向かった。
ガチャっと鍵のかかる音が店内に響いた瞬間、私は、背後から高里さんの背中をそっと抱きしめた。
「広い背中だね。」
「晴夏ちゃん・・・。」
高里さんは、振り向くと、私の身体をギュッと抱きしめた。
私たちは、そのままもつれあってキスしながら、ソファへと倒れ込んだ。
高里さんの体温が私に伝わってきて、私の冷えた身体を温めていった。
ソファの上で重なり合った私たちは、何度もキスを交わす。
「晴夏ちゃん、どこ触られるのが好き?」
「え!?私は・・・。」
「ここ?」
「あっ・・・。」
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