雨が降っていたあの日、私は人間のペットを飼い始めました。 (ページ 2)
「……え?」
「久美ちゃんが舐めろって言うなら、舐めるよ。俺」
垂石がソファを下り、私の足を掴んだ。あっと思った時には、垂石の唇が右足の親指を咥えていた。
「ちょっ……と! やだ! やめてよ、汚いよ……っ!」
慌てて足を引こうとした。けれども、強い力で掴まれていて少しも動かせない。
「ご、ごめん! あの、冗談だから、やめて――あっ!」
親指をしゃぶっていた垂石の舌が、ゆっくりと足の指を移動する。人差し指、中指、薬指……丁寧に舐められ吸われ、時々歯を立てられるのか、チクリと痛みが走った。
心臓がドキドキしてきた。息も上がる。恥ずかしい気持ちとくすぐったい気持ち、そしてこれからどうなるのだろうという気持ちで眩暈がする。
生暖かく柔らかい垂石の舌が、指の股を舐め、リズムをつけるように出し入れを繰り返すのを見て、胸とアソコがキュンっと切なくなった。
(なんか……変な、気分)
私は垂石を見た。なんでもない顔の垂石と目が合う。恥ずかしい。凄く恥ずかしい。
きっと垂石には私の顔が真っ赤なことも、息が荒いこともしっかり見えているはずだ。右足を中途半端に上げているから、履いているショートパンツから下着が少し見えていることも。そして、下着が湿ってきていることも。
「あ、あ、あの、もう……やめて」
「なんで? 足を舐めろって言ったの、久美ちゃんだよ」
いつも柔らかい感じの垂石の声が硬い。
(怒らせちゃったんだ……どうしよう)
「ごめん、謝るから……やめて……」
涙が出そうになった目を隠すように、熱くなった顔を両手で覆う。掴まれた足を軽く引くと、垂石の手が離れていった。
「久美ちゃん、謝んないでよ。それより――」
「え? きゃっ!?」
顔を覆う両手を掴まれた、と思ったら目の前に垂石の顔があった。
「な、何? 近いよ」
「久美ちゃんさ、他にも舐めて欲しいところあるんじゃない?」
垂石が左手首をベロッと舐めた。
ぞくぞくっと寒気に似た痺れが体全体に広がってゆく。アソコの切なさが増したように感じて、逃れるように体を捩った。
「あ、ん……やめて」
「何で? 舐めて欲しいって顔してるのに」
「だって、んっ、あっ」
「久美ちゃん。言ってよ。どこをどんなふうに舐めて欲しいかって」
唾液で濡れた左手首がじんじんと熱い。溢れ出た愛液で濡れた下着が気持ち悪い。
「ね、言って。久美ちゃん。俺に命令してよ」
もう駄目だと思った。
「……舐め、て」
「どこを?」
「…………胸、を」
垂石は私の両手首を離すと、着ていたTシャツとキャミソールをたくし上げた。見せつけるような動きで、垂石が私の乳首を口に含む。
転がすように舐められ、舌先で潰され……垂石の口内で乳首が硬くなってゆく。優しい愛撫と肌にチクチクとあたる髭のくすぐったさがもどかしい。
「ねぇ……、もっと、もっと、して」
私がそう言うと、垂石は目だけで笑って、もう片方の乳首をギュッと指で摘まんできた。
「やぁんっ! いっ、違う~っ!」
「違った? ごめんね。もっとおっぱい責めて欲しいのかなって思ってさ」
「あぁん、やだぁ……」
「じゃあ、どうして欲しいの?」
私の乳首を弄りながら、垂石が楽しそうに聞いた。
「な、舐めて……下も、全部」
「それから?」
「……指、入れて、して」
「それから?」
うぅっと言葉が詰まった。垂石はずるい。本当にずるい。「何でもする」なんていい顔するのに、肝心なことはいつもはぐらかして、なにもかも私から言わせようとする。
でも――そんなずるくて、素性もよく分らない男を、私は好きになってしまった。
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