私にはコンプレックスがある。けれどもあの人を前にすると胸は高鳴る一方で… (ページ 2)
* * * * * *
「…!」
玲は薄明かりの中で目覚めた。
肌触りのよい布のようなものが手に触れた。
それがベッドの上だと気付いた。
「玲さん?大丈夫?」
「あ、あの、私…」
「俺がお酒たくさん勧めたせいだと思うけど、途中で寝ちゃったんだよ。だから部屋に連れてきた。」
「ごめんなさい。迷惑かけました。」
「いいんだよ。俺もごめんね。」
玲は宮原を背に起き上がり、髪を片手で撫でながら整えていた。
「玲さん。」
突然宮原の腕が伸びてきた。
後ろから抱きしめられている。
「ごめん。我慢できないよ。玲さんがあんまり素敵だから。」
宮原の抱きしめ方は優しさも、男性としての力強さも感じられて、玲はクラクラしてしまった。
このまま抱かれてしまうと思うと、焦ってベトベトした手汗が滲み出る。
「ダ、ダメです!」
動揺しているのを悟られないように、渾身の力を出すようにして宮原の腕を払いのけた。
「どうして?俺のこと嫌いじゃないでしょ?初めて会ったときから思ってた。玲さんは俺のこと好きだって。」
強引な人だと玲は思った。
しかし心地よく感じた。
強引な男に惹かれるからである。
宮原はその後押し倒してきた。
気持ちを見透かされていると思った。
でも身体を見られたくないのだ。
再び抵抗しようとしたとき両腕を抑えられ、キスされた。
(うううう…ん!)
届かない抵抗の声を出そうするが、宮原の唇はどんどん圧力をかける。
段々と力が抜けて行く。
気がつけば、部屋中に響き渡るようないやらしい音を立てて、深いくちづけを交わしていた。
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