記念日にはじめてを経験して全てが満たされる幸せな夜

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記念日にはじめてを経験して全てが満たされる幸せな夜 (ページ 1)

今日は彼と付き合い始めて、1年目の記念日。

そのお祝いに、もうすぐ翔君が私の家にやってくる。

女が男を家に招く意味は、分かっている。

今夜、私は女になるのだ。

「外で待ってた方がいいかな」

薄いカーディガンを羽織って、玄関へと歩き出す。

するとポケットに入れていたスマホが、控えめに鳴った。

この音は、彼からのメール。

ドキドキしながら開くと、

【もう着くよ、ドアの前で待っていて】

と簡素な文。

書かれたとおりにドアを開き、外の風に身を寄せる。

初夏の生暖かい空気が頬を撫ぜた。

しばらくすると、翔君が、両手いっぱいの花束を抱えて、階段を上ってくるのが見えた。

私は嬉しくなって、駆け寄った。

「翔君!」

「舞ちゃん、お待たせ。これ、お花」

彼から受け取ったのは、桃色の薔薇。

なんて素敵な人なのだろう。

このままプロポーズされてしまいたいくらい。

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