風邪をひいてかかりつけの病院を受診したら―大人の余裕に隠れたSな町医者 (ページ 3)
「特に異常はないなぁ。疲れが溜まってるようだから、しっかり休んで」
「でも、明日は仕事に出ないと」
これ以上は休めない。
もうすぐ繁忙期に入る。
「わたしだけが、休む訳にはいかないです…」
「うーん。あんまり無理はして欲しくないんだけど。仕事が終わってから、一度、様子を見せにきてもらおうかな」
「分かりました」
利人さんの優しい微笑みには逆らえなかった。
胃薬を飲んで、わたしは仕事に出た。
薬のおかげで胃痛は消え、遅れた分を取り返すことができた。
けれど、仕事は増えていくばかり。
残業は避けられそうにない。
「すみません、残業になってしまって…診察時間に間に合いそうにないです」
トイレ休憩を使って、病院に電話をかける。
「千星ちゃん、自分の体は大切にしないと」
少し怒ったような声が耳に刺さった。
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