風邪をひいてかかりつけの病院を受診したら―大人の余裕に隠れたSな町医者 (ページ 10)

「千星ちゃん、具合は大丈夫?悪化させてないかな」

わたしを抱きしめたまま、利人さんが心配そうな顔をする。

「悪化したかも」

「どこか痛い?寒気がする?」

わたしの答えに利人さんがお医者さんになった。

「うーん。胸がドキドキする」

「ちょっと脈、診せて」

「そんなの意味ないよ」

手首に触れようとした手を頬に当てる。

温かくて気持ちいい手。

「お医者さんじゃ治せない病気だもん」

「それって、もしかして温泉も効かない病気かな?」

「そう」

「僕にもうつってる病気だ」

二人して恋の病にかかってしまった。

きっと、熱に浮かされる。

-FIN-

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