好きなのに、向き合えなかったあの人とバスの中で再会して… (ページ 6)

バスを降りると、まだ肌寒い空が広がっていた。

月が綺麗に見える。

「寒いね。」

「あ、はい…。少し。」

「変なところで、降ろしちゃってごめん。」

「いや、そんな。」

「家まで送るよ。どっち?」

もう…逃げたくない。

「あの…」

「何?」

「帰りたくない…です。」

「…。」

「あ、やっぱり…」

「本当に良いの?」

「え…。」

「そんなこと言われたら、帰したくなくなっちゃうけど。」

ホテルに着くと、ドアが閉まるなり抱きしめられた。

苦しいぐらいに降り注ぐキス。

「ん…んんっ!」

吐息とともに切ない気持ちは溶けていく。

「ベット行きたい…」

掠れた滝内さんの声を合図に、お姫様だっこで運ばれる。

急にお姫様になったみたい。

突然始まる、シンデレラストーリーはちょっぴり気恥ずかしい。

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