好きなのに、向き合えなかったあの人とバスの中で再会して… (ページ 5)

そんな…。

「謝るんじゃなくて、正直に言ってほしい。亜紀ちゃんの口から聞きたい。」

好きなのに、ずっと好きなのに、逃げてばっかりだった。

それでも、逃げちゃダメって言ってくれる人がいる。

滝内さん…

「好き…です。」

「亜紀ちゃん…。」

震える唇を滝内さんの指がなぞる。

「可愛い…キスしていい?」

答えなんか聞かずに滝内さんは唇を奪ってくる。

啄むような優しいキス。

ギュっと身体が抱き寄せられると、舌が唇を割ってきた。

「んっ…。」

甘い吐息が漏れた。

滝内さんはハッとしたように、身体を離す。

「あ、ごめん。こんなところで…。」

「え…いや…。」

「大人げないね。ごめん。」

「そ、そんなこと…。」

「次は◯◯。お降りの方はバスが止まってから、席をお立ち下さい。」

「次、降りよっか…。」

目が合わないまま会話が進む。

「はい。」

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