思いがけない告白で大好きな部下の彼と結ばれた初めて夜

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思いがけない告白で大好きな部下の彼と結ばれた初めて夜 (ページ 1)

退勤時間が過ぎたオフィスに誰もいないことを確認し、私は戸締まりをしに行こうと重い腰を上げた。

部下をもってからというもの、私は1人の男に頭を悩まされている。

彼こと悠翔くんは私より3つ年下で、去年から部下として私と行動を共にするようになった。勤務態度は真面目だけれど口数は少なくて、恋愛には興味がなさそうな印象。

記憶が無いので今日のお昼休みに聞いた話になるけれど、昨日の飲み会にて私はお酒に酔った勢いで悠翔くんに告白したらしい。

それだけではない。悠翔くんはというと、恥じらいも色気もゼロな私の告白に、あっさりとOKを出したというから驚きだ。

…がしかし。私が悠翔くんを好きであることは事実だけれど、こんな醜態を晒した後でも上司として彼と接しなくてはならないということを考えると、とても気まずい。

「…悠翔くんに、謝らないといけないかなぁ…」

「…何をですか?栞理さん」

項垂れる私の頭上から無感情な低い声が降ってきて、慌てて私は平静を装うように顔を上げる。

「っ!?…あれ?悠翔くん、まだ残ってたの……?」

「栞理さんと2人きりになれるように、わざと残っていました」

「なっ…何言ってるの?あの告白は真っ赤な嘘だから!間に受けないでくれる?」

内心では恥ずかしくてたまらないのに、私の口からは照れ隠しで彼を冷たく突き放すような言葉ばかりが飛び出してくる。

ところが次の瞬間、悠翔くんは私が予想すらしていなかった行動に出た。

「…それは本音じゃないですよね、栞理さん?」

「っあ…ちょっと、近い…!」

まるで私の本心を見抜いているかのような、悠翔くんの低い囁き。

それが私の耳元に直接吹き込まれたものだから、思わず私は自分でもビックリするほどのはしたない声を上げてしまう。

「…なるほど。栞理さんは耳が弱いんですか」

「ち、がう…っ」

私の耳元に顔を近づけたままの悠翔くんからふっと息を吹きかけられて、私の肩がビクッと跳ね上がる。

部下に突然こんなことをされているのに、拒めない私も私だろうか?

「…酔った勢いだけだったとは言わせません」

「怒っているの…?」

「…栞理さんの部下として仕事をすることになってから、俺が今までどれだけあなただけを想っていたか…知らないでしょう?」

「えっ…!」

悠翔くんは一旦私を解放すると、私の目を真っ直ぐ見つめてこう言い放った。

「だから昨日、栞理さんに告白されたことが純粋に嬉しかったんですよ」

嘘だ、と思った。気まずい思いをしていたのは私だけだったのかと思うと、変に体の力が抜けてしまう。

恋愛には興味が無いだろうと私が勝手に思っていただけで、本当の悠翔くんはとても一途で…優しい人だったのだ。

「私はね、そのことで悠翔くんに謝らなくちゃいけないなと思っていたの」

「それが今日、俺を避けていた理由ですか?」

「…うん。だから上司としてこれからどう接するべきか、考えていたら気まずくなるばかりだった」

「…そうですか」

悠翔くんは細いため息をつくと、次の瞬間。

再び屈み込んだかと思いきや、私を軽々とお姫様抱っこした。

「悠翔くん…!?ちょ、っと…降ろして…!」

「たった今誤解が解けたんですから、これからは俺を避ける必要は無いですよね」

「そ、そうだけど、私…」

「…本当に俺のことが好きなら、大人しくしていてください」

「…分かった」

どこへ連れていかれるのだろうとチラリと悠翔くんの顔を見上げると、彼が妙に落ち着き払っていることに驚いた。

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