「『姉さん』になるなんて。絶対嫌だ」婚約者の弟に強引に迫られて断りきれずに…

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「『姉さん』になるなんて。絶対嫌だ」婚約者の弟に強引に迫られて断りきれずに… (ページ 1)

「空、わざわざ見送りありがとう」

陸は気恥ずかしいのか、弟の空くんから視線を逸らしてそう言った。

サラリーマンの陸君は、今日から一か月ニューヨークで研修してくると言う。

「絵里も、折角の休日なのに悪かったな」

「ううん。身体に気を付けて頑張ってね」

さすがに、空くんの前でキスをするのは躊躇われたので、お互い握手して別れた。

幼馴染の陸と私が付き合い始めて、もう10年。

帰国したら、結婚式を挙げる手筈も整っていた。

「絵里さん、送るよ」

陸を見送った後、空くんはぼそりとそう言った。

私たちより三歳下の空くんは、可愛い弟――というイメージだったけれど久々に逢うと、もう、堂々とした大人の男になっていてなんか不思議な感じ。

そりゃまあそうよね。私も来月25歳だし。

空くんも、今年大学を卒業して、春からは新社会人だって言ってたっけ。

送ってもらったお礼にお茶でも――と、深く考えずに独り暮らしの部屋に空くんを上げた。

だって、私にとって空くんはただの『弟』なんだもの。

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