快楽を求める貴方と偽りの愛を求める私の一夜限りの夢 (ページ 2)
高校を卒業してから恋をしてこなかったわけじゃない。
告白されて、付き合って、体を重ねた人もいた。
それでも心の隅に夏樹を忘れられなかった私は他の誰かを心から好きになれなくて、自分から別れを告げたのだった。
『ありがと。夏樹も身長伸びたよね』
あ、わかる?って無邪気に笑う顔は2年前と何も変わらない
誰にも気づかれないように、いつもそっと追いかけていた夏樹の笑顔
「せっかく会えたんだし、飲みにでもいく?」
夏樹の一言で飲みにいくことになって
高校の時の話、今の大学の話、昨日観たテレビの話、そんな他愛もない会話に花を咲かせたけれど
今、誰か付き合ってる人がいるのか
本当のことを知る勇気のない私はそれだけは聞けずに店を出た。
夜中2時。
静寂の中、二人並んで歩いた。
酔って足元のおぼつかない夏樹の体を時折支えながら、この状況に不純な気持ちが渦巻く。
「覚えてる?あの、付き合ってた彼女。今でも続いてんだよ俺ら」
1番望んでいなかった真実に胸がチクチクと痛む。
「好きなんだけどさ、最初の頃より可愛く見えねーんだよ」
『うわっ、ヒドっ!最低!とんでもないクズじゃん!』
「ヒドイ言われようだな」
恋の悩みの相談相手、私の立ち位置は昔のまんま。
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