血の繋がりがない妹の秘密を知った兄の勝手で切ない愛情

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血の繋がりがない妹の秘密を知った兄の勝手で切ない愛情 (ページ 1)

唐突と言っても過言ではないタイミングで、血の繋がらない妹が出来た。

 十数年前に、俺の実の母親と死別した父親が、再婚したからだ。

 36歳にもなって、20代半ばの妹なんて…と、最初は相手にしないつもりだったが、彼女を前にすると、どうしてもどぎまぎしてしまう。

 沙耶は可愛らしい人だった。

 彼女は元々、ひとり暮らしをしていたが、母親の再婚を機に連れ戻されたらしく、最初のうちは塞ぎ込んでいる姿が目に付いた。

 自室からなかなか出て来ず、朝の出勤前と、夕食の時間くらいしか顔を合わせることがなかった。

 一人っ子だった俺は妹という存在に、最初はどう接していいか分からなかった。

 でも、決まった時間に接するうちに、少しずつ笑顔が見えるようになり、その姿に何故か俺は安心していた。

 沙耶は少しずつ元気を取り戻し、俺の胸も、ほんのりと温かいもので満たされるような気がした。

 いつ頃からだっただろう。

 夕食が済んでしばらくすると、沙耶の部屋から、奇妙な音が聞こえるようになった。

 彼女の部屋は、俺の部屋の隣だ。

 壁の薄い家ではないのに聞こえるということは、それなりの音だ。

 部屋で静かに読書をしたい俺にとっては、気が散ってしょうがない。

 いつも聞こえてくる、奇妙な音の正体が気になって仕方がなかった俺は、父と継母が泊りがけの旅行に出かけたこの日、沙耶の部屋のドアに耳を当てた。

 機械音が、はっきりと聞こえてくる。

 延々と鳴り響くその音。

 同時に聞こえてくる、艶っぽい声。

 それで気付いた。

 沙耶はオナニーしているのだ。

 奇妙な音の正体は、バイブのモーター音だろう。

 夜、沙耶があまり部屋から出て来なかったのは、このせいだったのか。

 可愛い彼女が、バイブを使ってオナニーしている。

 ドアの外で、俺もすっかり興奮してしまっている。

 衝動に駆られて、断りもなく、俺は部屋のドアを開け放った。

 部屋の中の沙耶は、股間のものもそのままに、ぎくりとした。

 沙耶は慌てて毛布に手を伸ばしたけれど、モーター音は鳴り響いている。

「な…何なの…」

 沙耶は普段、俺に敬語を使う。

 俺も普段は、継母に遠慮して『沙耶さん』と呼ぶし、沙耶も俺を兄とは呼ばず、『拓郎さん』と呼ぶ。

「…沙耶さん。そんなに溜まってるの?」

 沙耶は顔を真っ赤にしている。

 俺と視線を合わせようとしない。

 それも、無理はない。

 沙耶の羞恥心も理解は出来るけれど、それ以上に、俺の胸は高鳴っていた。

 妹の恥ずかしい場面を目の当たりにしたから、ではない。

 まるで、恋人の部屋を訪ねたら、オナニーの現場に鉢合わせたような気分だった。

 …それが、俺の気持ちを全て表しているのかもしれない。

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