ジャズバーの青年が酔いつぶれて駄々をこねるから家に連れ帰れば…見透かされる心 (ページ 2)
「ユキさ~~ん」
ぎゅ、っと腰に抱きついてくる。
「ちょ、ちょっと!」
こんなふうに抱き寄せられるのなんて、初めてだった。
コウタはすりすりと喉に鼻を寄せてくる。
「いい匂いする。おいしそう」
コウタの声が、普段よりずっと低かった。
こっちを見る目はどこかトロンとしていてゾクゾクした興奮が背を走る。
じゅん、と、奥が濡れるのがわかった。
私……、コウタに欲情してる?
「コウタ?」
「ユキさん、こいつ酔っ払ってるんですよ」
そういってバンドのメンバーがコウタを私から引き剥がした。
「ほら、もう帰るぞ」
「ヤダ、終電ないもん」
コウタは駄々をこねる。
「……あたしのとこ、泊まる?」
気が付くと、コウタを引き止めていた。
「わぁい」
先ほどの声色はどこへやら
コウタはまた子供っぽい笑顔を浮かべる。
他のメンバーが全員帰って、コウタと二人きりになった。
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