ジャズバーの青年が酔いつぶれて駄々をこねるから家に連れ帰れば…見透かされる心
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ジャズバーの青年が酔いつぶれて駄々をこねるから家に連れ帰れば…見透かされる心 (ページ 1)
会社の帰りにそのバーに寄るのが、ちょっとした楽しみだった。
「あ、ユキさん!」
ぱっと顔を上げる、サックスの青年。
コウタと出会ってから、もう二年になる。
「今日も来てくれたんですか!オレ頑張っちゃいますよー!」
犬みたい。
バンドのみんなは少し顔を見合わせて、またか、って笑ってる。
弟みたいなこの子がなんだか放っておけなくて、ついつい足を運んでしまう。
こんなに子供っぽいのに、ステージに上がると別人みたいに
かっこいい。
サックスを手にして吹き鳴らす姿に、正直見とれてしまっているのはナイショだ。
その日の演奏も絶好調で、店の客たちは手を止めてコウタの演奏に聞き惚れていた。
演奏が終わって、コウタがこっちへ寄ってくる。
「どうでした、今日のオレ」
「ふつう。まぁよかったんじゃない?」
すなおに言えればいいのに。
どうしても強がって、ちゃんとほめてあげられない。
「ちぇー」
コウタはちょっとふてくされて、モスコミュールを頼んだ。
それで気が付くと、コウタがすっかり酔いつぶれていた。
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