気が狂いそうな程焦らされ、冷ややかな目で見下ろされる拷問のようなセックスの真意は― (ページ 6)
「今の、誰?」
学内で、顔見知りの男の子に手を振っていたところに、声をかけられた。
巧くんだった。
「同じ高校の、二つ下の子、この春に入学したの」
「仲いいの」
「うちの地方からこっちの大学に来るの珍しいから、気になって」
巧くんは、変なものを飲み込んだような顔をしてる。
「…この間、駅で、一緒にいた」
「見てたんだ? 乗り換えで迷ってたから、声かけたの」
「それで?」
「不安みたいだったから、ホームまで一緒に…」
「………」
なんともいえない表情で黙り込むと、巧くんは突然、みるみる真っ赤になった。
「え、巧くん?」
「ごめん、俺、完全に勘違いした」
ごめん由里、と恥ずかしそうに口元を手で隠す。
あっ、もしかして。
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