ナンパに困っているところを助けてくれた彼氏。その後、電車で痴漢されて感じちゃう。
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ナンパに困っているところを助けてくれた彼氏。その後、電車で痴漢されて感じちゃう。 (ページ 1)
怜加は困り果てていた。
彼氏を待っていたのにナンパ待ちと思われたのか、全く知らない男性に声をかけられてしまったのだ。
「すみません。彼氏を待ってるんです」
「彼氏いるんだ?でもキャンセルすればいいじゃん。俺とデートの方が楽しいよ。どうせ遅刻してるんでしょ?」
「いえ、あたしが早く来すぎて……」
「でも俺と会ったんだから、俺とどっか行こうよ」
どうして諦めてくれないのか。
本当のことを言ってるのに。
断ってるじゃないか。
困っていると、怜加の視界に彼氏の佑太が入った。
気づいた佑太がこっちに来てくれて、怜加は安心した。
ナンパ男の肩を掴んで振り向かせ、にらんで凄ませた。
佑太は怒ると怖い。
「俺の彼女が何かしましたか?」
「い、いいえ」
そういうとナンパ男はようやく諦めてくれた。
「ありがとう、佑太」
感謝を伝えて彼を見ると、眉間にしわを寄せて怜加をにらむように見ている。
「なんでそんな格好してんの?」
怜加の今日の服装は、寒いからコートは着ているけれど、ミニスカートを履いているため、生足が露出していた。
「前に言ったよね?怜加は狙われやすいから、露出するなって」
「き、今日はコート着てるから大丈夫だと思って……。それに久しぶりのデートだから、気合い入れてしまって」
「でもナンパされてた」
そう言われてしまって、怜加は反論できなかった。
「初めて会ったときも、痴漢されてるのを助けたときだったし」
佑太と初めて会ったのは高校生のときだ。電車通学をしていた朝、遠慮なく触ってくる痴漢に恐怖して声を上げられなかったとき、助けてくれたのだった。
それからコミュニケーションをとるようになり、高校を卒業するころに告白されて付き合い始めて今に至る。
佑太は出会ったときから怜加の格好に口を出していた。
痴漢は加害者が悪いのはわかっているけど、そういう格好をしない方がいいんじゃないのか?
けれど、好きな人の前では可愛くありたい。
だから今回はミニスカートをはいてきたのだ。
「コートが長いから大丈夫だろうって思ったの。ごめんなさい」
怜加は謝ったけれど、佑太は渋い表情を崩さなかった。けれど、
「わかったよ。行こう」
そう言って怜加の手を引いて、駅の中へ入って行った。
電車の中は人でいっぱいだったけれど、どうにか出入り口のスペースをとることができた。
けれど混み合っていて足元は見えないし、目の前に佑太の顔があることに緊張してしまう。
デートのときは隣を歩くし、食事のときはこんなに至近距離にならない。
背伸びをしたら唇に届いて、キスをしてしまいそうだ。
「ひ、人……、多いね」
怒っているように見える佑太に、怜加は話しかけた。
どうにかなだめたかったのだ。
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