理性も倫理も世間体も吹き飛ばし私をふらちにした意地悪な男
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理性も倫理も世間体も吹き飛ばし私をふらちにした意地悪な男 (ページ 1)
浩司さんは、特別なひと。
私は、彼の前では夫にだってみせない本当の私になる。
「はい、では午後一時に。よろしくお願いいたします」
営業口調、でも彼が少し笑っているのが電話越しにわかった。
部屋に入ると、ぎゅっと彼に抱きつき、タバコの匂いをくんくんと味わい、上着をハンガーにかけ、ベッドに腰を下ろした彼の膝の上に当たり前のように座り、首に腕を回して、はい、と、キスをせがむ。
てきぱきと。
「毎回思うけど、浮気チェックする妻のルーティンワークみたいだよな」
私の腰に両手を回し、浩司さんは苦笑する。
「・・・はやくくっつきたいだけ、だもん」
「千穂は、本当に甘えんぼうだな」
人の目のないとき、私は彼に四六時中くっついている。
話しかたまで変わってしまう。
大人らしさはもちろん、理性とか義務とか正義とか倫理とか世間体とか、すべてが吹き飛び、ただの無防備でわがままな子供になる。
浩司さんが、ゆっくりといつのまにか、私を丸裸にしてしまったのだ。
「あはは。理性あたりは少し残しといてもらわないと困るな」
低く笑い、膝の上の私を抱きかかえ、ベッドに倒れこんだ。
「あー、疲れたー」
ぎゅう、力強く抱きしめられた。
私はすっかり安心する。
この世界がじぶんのためだけにあるような気持ちになる。
がばり。
浩司さんは起き上がり、私をじっと見つめた。
「千穂の理性がどのくらい残ってるか確かめないといけないな」
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