友達から貰ったローター、咄嗟に隠した筈なのにうっかり見つかってしまい… (ページ 2)
――――そして次の日の夕方。
仕事が休みだった私は机の上にそれを置きながら、悩んでいた。
捨てようかとも思ったが、使ったことがないローターに少し興味もあり、迷っていた。
でも、自分で使うなんて…恥ずかしい。
――ピンポーン
もんもんとしながら悩んでいると、ふいに家のチャイムが鳴った。
「っ!」
突然のことにびっくりして、思わずローターをベッドの下に押しやった。
2回目のチャイムが鳴り、慌てて玄関へと駆け寄る。
「はーい。」
ドアを開けると、
「ただいま、さくら。」
「えっ!海斗!?」
そこにいたのは出張に行っているはずの海斗だった。
「どうしたのっ?帰ってくるのは1週間後なんじゃ…。」
「思ったより仕事が早く終わって、さくらに会いに来た。」
仕事が終わってそのまま来たのか、スーツ姿の海斗を見て、思わず笑みがこぼれる。
「嬉しいっ。連絡くれればよかったのに。」
「さくらを驚かせたくて。」
悪戯っぽく笑う海斗に、胸がいっぱいになった。
「今日、泊まっていい?」
「もちろんっ!入って。」
海斗を家に招き入れると、いきなり後ろから抱きつかれた。
「ひゃっ!…びっくりした。どうしたの?」
「…会いたかった。」
彼の抱き締める腕に力がこもる。
「…私もだよ、海斗。会いたかった。」
「…ん。さくら。こっち向いて。」
くるりと私の体を反転させ、顎を持ち上げられる。
そして、優しく唇が触れた。
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