「可愛いだけで終わらせないで」思い出を塗り替えるオトナの再会 (ページ 9)

***

落ち着いてみると、あまりの恥ずかしさに、私は布団に潜りこんでしまう。

「やだ、私、なんで…」

「俺はすごい興奮したけど?」

「…っ、そういうこと言わないで!恥ずかしいから!」

「菜々子、可愛い」

そう言って、布団ごと抱きしめられる。

もっと思いきり抱きしめてほしくなって、ひょこっと布団から顔だけ出してみる。

すると、すぐさま額や頬にキスの嵐が降った。

「やっ、くすぐったい!」

「じゃあ、気持ちいいキスにする?」

にやりと意地悪そうに笑う彼に、思わず先ほどまでの情事を思い出してドキリとした。

思い出の中の彼は、いつも優しそうな笑顔ばかりだ。

こんな意地悪な彼を見るのは初めてかもしれない。

けれど、優しいばかりの『お兄さん』より、その方がずっと近くにいる気がした。

年下の『女の子』だった私は、彼の中でどう変化したんだろう。

少しは大人の女性らしくなったのかな、と思いながら、彼の唇を少し舐め上げた。

「さぁ、どうぞ?」

-FIN-

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