「それまで、抜いちゃダメだよ」鬼畜歯科医の絶対命令 (ページ 2)
―コンコンッ
「っ!?」
突然聞こえたノックに体が大きく跳ねあがった。
急いでひざ掛けを元に戻し、俯く。
中で動き続けている玩具の音が、聞こえてしまわないか怖くなり、ギュッとひざ掛けを握り締めた。
そんな私とは違い、あたかも何事も無かったかのようにスタッフと会話をする橘先生は、最後に「わかった。」と小さく呟いた。
ドアが閉められ、再び二人きりになる。
「…愛ちゃん、ごめんね。急患が入ったみたい。」
「い、いえ…。あっ!」
突然、玩具を奥へと押され、声が漏れてしまった。
クスッと笑った橘先生が、私の耳元にキスを落とす。
「診療後、またおいで。待ってるから。…それまで、抜いちゃダメだよ。」
「っ!?」
低く甘い声。
お腹の奥がキュッと閉まるのを感じながら、私は急いで病院を後にした。
―そして、数時間後。
「…待ってたよ。」
まだ白衣姿の橘先生が迎えてくれたのは、病院の裏口。
さっきの様子とは違い、シンと静かな院内に私達だけの声が響く。
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