仕事ばかりの彼のお腹に後ろから抱きついて―寂しさ吹き飛ぶ愛で満たされる
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仕事ばかりの彼のお腹に後ろから抱きついて―寂しさ吹き飛ぶ愛で満たされる (ページ 1)
「ねえ、義弘」
少しの寂しさを声に込めながら、私は彼の名前を呼んだ。
彼はちらりとこちらを見て、それから視線を画面に戻す。
「もう少しで終わるから」
もう何度も似たようなセリフを聞いたのに、またそんな言葉をかけられて思わず下を向く私。
かちゃかちゃと響くタイプ音が憎らしい。
義弘が仕事熱心なのは付き合う前から知っていたけれど、まさかここまでとは思わなかった。
せっかく休みが一緒になったというのに、先ほどから義弘はPCにかかりっきりだ。
液晶画面が映しているのは何かの論文だろうか、義弘の肩越しに眺めた文章には小難しい単語が並んでいた。
椅子に座った彼の肩を軽く揺すってみても、もう反応すら返してくれない。
小さくため息を吐いた私は、それから義弘の髪に手を伸ばした。
私のそれより硬く、短く癖のある髪はさっぱりとしていてなんだか彼らしい。
指先でつまんだり、くるくると指を絡ませたりしているうちに楽しくなって、少しだけ気が紛れた。
一房つまんだ髪をねじって遊んでいる時、ふとした悪戯心が胸の中に湧く。
咎める声さえないのをいいことに、私は髪に触れていた手をそろそろと落とした。
びくっと揺れた義弘の身体に、思わず口角が上がる。
床に膝をついて後ろから義弘のお腹へと抱きついた私を、流石に義弘としても無視できないのだろう。
視界に映るのは椅子の背もたれだけだけど、少し眉を下げた彼の表情がまぶたに浮かぶようだ。
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