漫画家と編集者――越えてはならない一線がある、そう分かっていたのに… (ページ 2)

コンコンッ

「先生?お休みのところすいません、先ほど原稿を受け取りま……」

「やぁ果歩ちゃん、いらっしゃい」

ノックと同時に開くドア。

目の前に現れたのは裸の先生。

「きゃ……っ?!先生!せっ、せめて下着だけでも履いてくださいっ」

「あ、そう?ごめんごめん」

照れもせずに、くわえタバコで頭をポリポリと掻く先生の後ろにはベッドで微睡む女性がいた。

私の視線に気付いた女性が気怠そうにこちらを見ている。

「……」

「果歩ちゃん?」

「あ……えっ…と、げっ原稿ありがとうございました!問題なかったので私はこれで失礼します!」

動揺したまま急いでお辞儀をして、私はその場からすぐに立ち去った。

この日は結局、顔を見ただけでろくに話もせずに編集部に戻り、原稿を印刷に回してから早々に帰宅した。

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