恋人だった人の友達だった彼。これまでに私が知らなかった愛の形って…? (ページ 3)

「僕は、瑞希さんと一緒に、気持ちよくなりたいんだ。意味が分かる?」

 早く挿入したいという意味だろうか、と考えた。

 何度目になるのか、また軽くキスされた。

「こういうことさ…」

 修二さんは体を反転させた。

 私の目の前には、とうに固く張りつめたものがあった。

 そして、修二さんの目の前には、私の秘部がさらされていた。

 間髪を入れず、その部分が派手に音を立てた。

 同時に、激しい快感が私を襲う。

 指が忍び込んでくる。

「あ…あぁ…ん…っ!」

「瑞希さんだけ感じてないで…僕のことも気持ちよくしてよ…」

 私は無我夢中で、目の前のものを口に含む。

 修二さんの吐息が、私の敏感な部分をくすぐる。

 これまでに経験がないほど、舐められ、吸われる。

 甘噛みされ、指を出し入れされる。

 私の秘所が卑猥な音を立てている。

 修二さんが私を振り返り、懇願するように言った。

「瑞希さん…早く…早く欲しいよ…。もう、我慢出来ない…」

 彼はまた体を反転させて、私を抱きしめた。

 私も、早くこの人が欲しい。

 この人の優しさに、もっと抱かれたい。

 耳元で聞こえるのは甘い吐息。

 荒々しい喘ぎ声などではなく、その甘さに違わぬ仕草と動作。

 そっとかき分けるように、修二さんは私の中に入り込んできた。

 そして、知らず知らずのうちに、奥まで入り込まれてしまっていた。

 一番奥で感じる彼は、思いもかけない熱を持って、私を突き上げてきた。

「あ…っ…あ…っ…。そんなにしたら…ぁ…」

 ひとつになった部分からは、卑猥な音が聞こえる。

 私はただ、喘ぐことしか出来なかった。

「この10年、本当に夢にまで見たんだ…。このままイカせて…」

「待って…私も…もうちょっと…」

「瑞希さんもイキそうなの…?どうしたらイケそう…?」

 激しくしたり緩めたりしながら、修二さんは私を突き上げる。

「ねえ、どうしたらいいか、ちゃんと言って…。瑞希さんもイキそうになってるのに、僕ひとりでイクなんて、寂しいよ…」

「もう…少し…。もう少しだけ…」

 彼の息遣いが止まったように思えた。

 深く、浅く、修二さんは突き上げてくる。

 自分でも、どうして欲しいのか、よく分からなくなるほど感じているのに…。

 私は、快感の波の間を揺れ動く。

 …どれくらいの間、そうしていたんだろう。

 私にも、明らかな絶頂が見えてきた。

「修二さん…イク…イッちゃう…っ!」

「僕も、もう我慢出来ない…っ!」

 耳元で、陶酔した呻き声が聞こえた。

 どさり、と修二さんの体重が落ちてくる。

 …私を満たしてくれたのは、性的な満足感だけじゃない。

 それはきっと、修二さんの思いやりだったに違いない。

 ずっと捨てられなかった名刺は、修二さんの心の叫びだったのだろうか。

 僕を忘れないで、という―。

 絶頂の余韻が残る声で、修二さんがささやく。

「この日を、ずっと待っていたんだ。今日は、帰さない」

 体勢を変えて横になった修二さんは、腕枕をしてくれた。

 穏やかな表情だった。

 10年が…経ったのだと感じられた。

 私ももう、あの時のままの私じゃない。

 修二さんの気持ちの意味が、分かるようになった。

 今日は帰さない、という言葉と同時に、修二さんの気持ちを受け入れる意思を示すために、私は彼の胸にすがり付いた。

 修二さんの腕に優しく抱かれ、土曜日の午後は過ぎていった。

 これからは、愛情深い彼のそばで、日々を過ごすことになるだろう。

-FIN-

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