空き部屋でギラつく雄になった先輩に貪られる余裕のないオトナの情事 (ページ 5)
「はぁ…っ」
不安定な体勢から解放されたものの、立っていられず、ずるずると座り込む。
先輩も腰砕けになったみたいに、へたへたと膝をついた。
全力疾走した後のように、二人して肩を上下させて、呼吸を整えるうち、どちらからともなく、我に返った。
「………」
先輩は床を。
私は先輩を。
じっと見つめたまま、冷たい汗が噴き出てくるのを感じる。
「俺ら、なんでこんなこと…」
「私も、よく…」
優秀な若手営業部員として社内でも評価の高い、清潔感のある顔立ちがこちらを向く。
でも今は、髪も肌も汗で湿って、清潔感よりは色気が勝る。
ついでに言うと、絶望感も漂っている。
「…お前、彼氏いたっけ」
「別れたばかりです、先輩は」
「ここ半年くらいフリー」
とりあえずよかった…と双方の深いため息が響いた。
お酒って怖い。
私は先輩の肩を力強く叩き、提案した。
「忘れましょう、先輩」
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