花屋で働く年下の彼がマーガレットの花束に込めた想い (ページ 3)

「遅くにすみません。これ」

玄関先で差し出されたのはマーガレットの花束だった。

「これ、誰から?」

白と黄色の可愛い花を両手で受け取りながら、メッセージカードを見る。

Happy Birthdayのシンプルな文字だけで、名前はどこにもない。

「俺からです」

「え?」

「リコさん、今日、お誕生日でしょう?お祝いしたくて」

にこりと笑うカイ君の気持ちが分からなくて、私はありがとうと呟いた。

「実はケーキも買ってきたんですけど」

黒ラブみたいな瞳が、じっと私を見つめる。

「一緒に食べちゃ、ダメですか?」

小首を傾げる仕草も犬みたいで、思わず頷いてしまった。

小さけど、きちんとホールのケーキを二人で突く。

「でも、なんで私の誕生日、知ってたの?」

「ポイントカードを作る時に書いてもらったので」

「あ、そうか」

「やっぱ、迷惑でしたか?」

叱られた犬みたいな表情のカイ君に、ぶんぶんと首を振ってみせた。

「ううん!すごくうれしかったよ」

たとえ営業の一環だとしても。

「これ、店のサービスじゃないですからね」

私の心が透けていたのか、カイ君がきっぱりと言った。

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