感じたことのない快感に戸惑いながらも大きな手が優しく撫でるから―バーで知らされる自分の魅力
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感じたことのない快感に戸惑いながらも大きな手が優しく撫でるから―バーで知らされる自分の魅力 (ページ 1)
行き付けのバー“charmer”。
ポカポカする体が心地よくて、気付けばグラスは空になっていた。
どうやら私以外のお客さんは全員帰ってしまったらしく、店内には私と経営者である誠さんの二人だけが残っていた。
「大人っぽくなれたらいいのに…。魅力的になるのはとても難しいんですね。」
“「もっと魅力的になりなよ。」”
職場の先輩に言われたその一言が忘れられず、普段は飲まないお酒を飲んでいる私。
とろんとする頭であれこれ考えてみる。
一人で考えているときのように心が痛む事はないけれど、代わりにぽっかり穴が開いたような不思議な感じ。
それでも、お酒を飲む前よりは充分楽な気持ちでいられているのは確かだ。
頬杖をつきながらぼんやりと瞬きを繰り返す私の姿に、隣に座る誠さんは相変わらずな優しい微笑を浮かべていた。
その顔が少しだけ揺れているようにも見える。
「…例えば、どんな魅力?」
「っ!?」
ゆっくりとした問いかけ。
それなのに、ドキッとしてしまったのは誠さんの手が私の髪に触れたからだ。
「そ、それは…。」
「それは?」
視界の端で動く、私の栗色の髪とそれを遊ぶ誠さんの指。
私をじっと見つめたままの微笑は、何だかとても楽しそう。
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