落ちこぼれの烙印を押された生徒を変えようと奮起した筈なのに…二人きりの教室に響く悦音
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落ちこぼれの烙印を押された生徒を変えようと奮起した筈なのに…二人きりの教室に響く悦音 (ページ 1)
ここは都内随一との呼び声も高い男女共学の進学校。
全国トップの大学に楽々と現役合格する生徒達がごろごろいる。
2流大学の教育学部をなんとか卒業した自分と生徒達とは頭の出来が違う。
「おはようございます!授業を始めます!」
「真由せんせー、今日のワンピース2500円だったんですか~?」
「ひゃっ!ちょ、ちょっと自習しててください!」
笑い声を背に受けながら職員室に戻る。
配属が決まって3ヶ月、童顔で天然な真由先生で定着してしまった。
伊達眼鏡も生徒にはバレているだろう。
「橘、また白紙答案です。古典はどうでしたか?真由先生。」
「ええっと…確か、一問だけ正解でした。」
橘くんは自由な校風を満喫しているのか髪も金髪で授業もあまり出ず、パソコン室にこもってばかりいる創立以来の問題児だ。
真由はワンピースについていたタグを切り、教室に戻る廊下で橘の回答用紙を思い出していた。
彼は一番難しい問題だけ回答し正解していた。
―彼は落ちこぼれなんかじゃない。大人が優しく諭してあげれば、きっと橘くんは変われるわ―
一人でうなずきながら拳を握り真由は教室に戻った。
授業を終え、密かに決意したことを早速実行すべく、真由がパソコン室を覗くと橘がいた。
「橘くん、ちょっといいですか?」
気配に気がつかなかったのか、ビクッと反応した橘が側にあった大量の紙を床に落とした。
「女教師とイケないレッスン(仮)……橘 六花…橘くん…これは?」
「……官能小説です。」
奪い取るように紙を取った橘がまたパソコンに向かう。
「えっ?橘 六花ってあの橘 六花ですか!?橘くん、凄いです!!」
橘 六花は最近出てきた新人小説家で濃厚な官能描写を爽やかなタッチで書き上げていることで若い男女に人気を博していた。
話題の官能小説家が弱冠18歳のしかも金髪の男子高校生とは。
真由はバラバラになった原稿をページ順に重ねながら、橘の視線も忘れ、これから発表されるであろう作品に目を通した。
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