オフィスの一角で彼に頬を両手で包み込まれて…意味深な後輩に振り回される (ページ 3)

軽くあたしの手の平を引っ掻くようにしてそっとミルクを置くものだから、動揺したあたしは思わずミルクを下に落としてしまった。

「ご、ごめんなさいっ」

すぐにしゃがんで拾おうとすると、彼も何でか一緒にしゃがみこむ。

近くに彼の顔がある事くらい簡単にわかる。

一気に体温が上がってしまって、立ちあがる事も、顔を上げる事すら出来ない。

「…カナさん、何でこっち見ないの?」

空気が混ざったような声がすぐ近くで空気を震わせる。

「顔上げないと、しちゃうよ?」

すると、あたしの頬が両手で包み込まれ、ゆっくりと前を向かされると、あの時見た綺麗な茶色い瞳の中にあたしが映る。

気付けば角度を合わせられて吸い込まれるように唇が重なった。

一瞬、何が起きているかわからなくて。

少し顔が離れると、うっすらと口角を上げた彼がこちらをじっと見つめていた。

あたしは急いで立ち上がってその場を去ろうとしたのだけど、腕を掴まれて壁に追いやられてしまい、逃げる事が出来なくて。

じっと見つめられて、顔を見る事すら出来ずに下を向いたままでいると、彼の指先があたしの唇を静かになぞった。

体がほんの少しピクっと反応してしまい、それに気付いた彼が再び顔を近づけてくる。

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