寡黙で人を寄せ付けない雰囲気のカメラマン―気が付けば彼の真っ直ぐな瞳に見つめられ…
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寡黙で人を寄せ付けない雰囲気のカメラマン―気が付けば彼の真っ直ぐな瞳に見つめられ… (ページ 1)
「お疲れ様でしたー」
「華恋ちゃん、お疲れ様ー」
「お先ー」
スタッフが、荷物をまとめ1人、2人、とスタジオから出て行き、たちまち静まり返る。
後は機材を片付ける、いつもの無口なカメラマンだけ。
そういえば、最近の仕事は、大抵彼と一緒になる。
(海堂さん、だよね。・・イケメンなのに、相変わらず無愛想・・)
金髪に近い茶髪に、スラリとした長身。
どちらかというと筋肉質でワイルドなその見かけは、女性にかなりモテそうな感じだが、いつみても無表情で愛想がないので、華恋は少し苦手だったりする。
横目でチラリ、と彼を見やり、はぁ、と大きく息を吐き出す。
(顔はタイプだし、腕前はピカイチだけど・・やっぱ、近寄りがたいよぉ・・)
話しかける話題もないので、華恋はそのまま黙って着替えを続けることにした。
スタッフの前で着替えることもなくはない、まして撮影なんて下着のときもあるのだから、と彼がいるのを意識もせず、椅子に座ったまま、ワンピースのファスナーに指をかけ、下ろす。
するり、と肩から腰までワンピースが流れ落ち、無防備な白い背中が露わになる。
不意に
カシャカシャッ
と、シャッター音が部屋に響き渡った。
「え・・?」
びっくりして視線をあげると、目の前の鏡越しに彼と視線が交差した。
急に恥ずかしくなり、慌ててワンピースを胸元まで引き上げる。
「あ・・悪りぃ」
あんまり綺麗だったから、つい・・
そういった彼の声は、想像以上のビタースイート。
ぞくり、と全身が泡立つ。
「・・初めて、聞いた」
くるり、と椅子を反転させ、華恋が彼の方を向く。
「え?」
「海堂さんの声。・・初めて聞いた」
それを聞き、海堂がびっくりしたような表情を浮かべた後、フッと笑った。
予想に反した優しい笑顔だったので、不意を突かれて、ドキッとする。
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