「他の男に、傷なんてつけられやがって」女扱いしてくれない先輩に怒られ嫉妬をぶつけられる (ページ 4)

「七海」

「あ、いや、その、大丈夫です」

何が大丈夫なのか自分でも分からないまま、そう返事を返す。

元から返事など聞く気はないのか、険しい表情の佐山さんは私の手を取った。

「っ!」

「痛むか」

思わず肩が跳ねる私に、低い声で聞き返す佐山さん。

ぶんぶんと首を振って答えると、ミミズ腫れを節くれだった親指が撫でた。

「他の男に、傷なんてつけられやがって」

その言葉に視線を向けると信じられない光景が目に入る。

それはまさに、佐山さんが私の手首に舌を這わす瞬間だった。

「え、佐山さ、あっ!」

いきなり舌の先でミミズ腫れをつつかれて、私は小さく悲鳴をあげた。

舌を這わせたまま視線だけこちらに向けた佐山さんに、顔がかあっと熱くなって思わず目を臥せる。

しばらくして手首から離れる体温に、私はゆっくりと視線を上げながら口を開いた。

「佐山さん、何で、」

こんなことをと続けるつもりだった言葉は途中で途切れ、佐山さんの唇に吸い込まれていった。

ミミズ腫れをなぞるように這っていた舌が、今度は私の歯列をなぞる。

「ん、ふっ、んんっ、んううっ!」

胸板を叩こうとした手は絡め取られ、抵抗できないままに口内を蹂躙される。

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