「他の男に、傷なんてつけられやがって」女扱いしてくれない先輩に怒られ嫉妬をぶつけられる
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「他の男に、傷なんてつけられやがって」女扱いしてくれない先輩に怒られ嫉妬をぶつけられる (ページ 1)
「よお、七海!」
バシッと派手な音をたてて叩かれた肩がじんじんと痛む。
いった!と大きな叫び声を上げてから、私は振り返った。
「何するんですか、佐山さん!」
「おぉ何だ、今日も元気だな」
はっはっはと笑う彼に、私はわざとらしく眉間に皺を寄せてみせる。
職場の先輩である佐山さんはご覧の通り体育会系で、私とは毎日こんな風に言い合う仲だ。
「いい加減パワハラで訴えますからね」
「あ?七海の癖にそんなこと言うなよ」
「あっいや、やめてくださいよ!」
こちらが冗談で言っていると知っているのだからたちが悪い。
過剰に見えるスキンシップも本当は人を選んでいるのだろう、私以外の女の人に不用意な触れ方をしている所は見たことがない。
ぐしゃぐしゃに崩された髪型を整えながら、私は溜め息をついた。
元々サバサバとした性格だった私が、佐山さんと軽口を叩き合う仲になったのはごく自然なことだ。
さっぱりした裏表のない佐山さんとのやりとりは、私としても気楽で楽しかった。
私が、佐山さんに恋をするまでは。
雑なやりとりの中でも優しさや気遣いをくれるところや、そんな優しさが分かりづらくて少し不器用なところは、今のような近しい仲にならなきゃ気付かなかったことかもしれない。
それでも、私ではなく他の女性ならどんな扱いをしているのだろうと考えてしまう自分が憎い。
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