騙されて来た合コンで、高校時代に好きだった彼と再会。実は両想いだったことが分かってからのラブラブセックス (ページ 2)
「あれ? 私の発泡酒?」
「あれ? じゃないよ。これは俺が飲むから。麻衣ちゃんはこっち」
ノンアルコールビールを手渡され、手を引かれてベットの前に連れて行かれた。二人でベットを背に並んで座る。
「飲む気になったの?」と笑いかければ、「ちげーよ」と賢吾君が言った。
「麻衣ちゃんがあんまり危なっかしいから見張ってんの。これ飲んだら帰る」
飲みかけの発泡酒を振りながら、賢吾君がうんざりしたように横目で私を見た。けれども、その口元は笑っている。
私は嬉しくなって「乾杯!」と賢吾君の持つ缶に、自分の缶を合わせた。
賢吾君と深夜番組を見ながらちびちび飲んでいると、私は段々と酔いが冷めてきた。
冷静になってくると、この状況が少し恥ずかしい。
ここに引っ越してきてから男の人を部屋に入れるのなんて、賢吾君が初めてだなとか。部屋の隅に積み上げられている雑誌や、朝使った化粧品の瓶の列が乱れているなだとか。
普段自分一人でいる時なんて気にも留めない些細なことが、妙に気になってソワソワしてしまう。
「……なんか、ソワソワしてるけどどうしたの?」
「何か……恥ずかしくなって」
「恥ずかしい?」
賢吾君が私の方を向きながら不思議そうな顔で首を傾げた。その顔は近い。私は賢吾君の視線から逃れるように少し俯いた。
今の今まで忘れていたけど、私は高校時代賢吾君がちょっとだけ好きだった。
他の女の子達との競争が激しくて、そうそうに好きなことを諦めてしまったけれども、廊下やグラウンドですれ違った時、嬉しくってドキドキしていたのを思い出した。
「ねぇ、何が恥ずかしいわけ?」
黙ってしまった私に、賢吾君が少し不安気に聞く。
「い、いや~。えっとね、ちょっと高校時代のこと思い出してて。私ね、あの時賢吾君のこと好きだったな、って――あれ?」
場の空気を壊さないように軽い感じで笑いながら言ったのに、賢吾君は怖いぐらい真剣な顔で私を見ていた。
「それ、本当?」
「えっ!?」
「俺のこと好きだったっての、本当?」
賢吾君が私の肩を掴んだ。払いのけられる強さなのに、私の体は固まってしまって動けない。
「俺も、麻衣ちゃんのこと好きだった」
「……うそぉ!?」
信じられない! 冗談でしょ!? なんて言葉が喉まで出かかっているのに、驚きすぎて何も言えない。
「両想いだったんだね、俺達」
賢吾君はそう言って笑う。あぁそうだ――私はこの笑顔が好きだった。この笑顔を見るたびに、胸がドキドキして幸せだった。
私の心臓があの頃と同じように高鳴り、きゅんきゅんと切なく軋んだ。
「ねぇ、賢吾君。その両想いの気持ち、今の私達に繋げちゃダメかな?」
肩を掴む賢吾君の腕に、私はそっと手を伸ばす。賢吾君の腕が肩から背中に回り、私の腕も賢吾君の背中に回る。心臓のドクドクという音が聞こえる。私の音なのか、賢吾君の音なのか分からない。
唇が重なる。何度もついばむようにキスされて、唇を軽く噛まれた。歯を舐められて、賢吾君の舌が私の舌と絡まった。
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