隣人に毎日聞こえてくるAVの音漏れを注意しに行ったら要求されるコスプレ撮影会 (ページ 2)
「すみませーん!」
ぴんぽん、と押すと。
なにやら音がしてあっさりドアが開いた。
「…、どなたですか?」
別に偏見とかは、持ってないつもりだったけど。
出てきたのはやけに不健康そうな顔色の男の人だった。
伸びっぱなしの髪が汗でもかいてるのか額にべったり貼りついていて、額にはハチマキ。
着てるTシャツはアニメキャラのような水着姿の女の子。
絵に描いたようなオタクだ、と瞬時に理解した。
「あの、えーとですね、隣の家の者なんですが、テレビの音がうるさいので、申し訳ないんですがもう少し音量を下げて頂けませんか?」
びしっと言うつもりできたけど、初対面に怒るとかやっぱり勇気がいるし、相手の体がやたら大きくて恐る恐る訴えると。
相手は不思議そうに首を傾げた。
「うちに、テレビはないですけど?」
「えっ…」
嘘。
そんなことある…?
いやテレビがないことはあるだろうけど。
毎日聞こえてきた音はこの部屋じゃないの?
でも明らかに右側からだったし、この人んちは端っこだから間違えようもないはずなのに。
疑いの目が見えたのか、田村さんが困ったように私を手招きした。
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