初めてのコスプレでどきどきエッチ!? 彼が衣装に着替えたら

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初めてのコスプレでどきどきエッチ!? 彼が衣装に着替えたら (ページ 1)

「ナンだ、こりゃ……」

 心底うんざりした声で、智司は言った。

「マジか。おまえ、こーゆーシュミ、あったのか」

「別に、あたしの趣味ってわけじゃないけど。会社の忘年会のビンゴで、当たっちゃってさ」

 眉間にしわを寄せ、頭を抱える彼を見上げて、千沙は思った。

 ――や、意外と悪くないんでない?

 それどころか、思いのほか、似合ってる。

 日ごろはごく普通のサラリーマン、地味なビジネススーツ姿ばかりの彼氏が、今、着ているのは、黒地に金銀の飾りがついた、妙にド派手な軍服風のコスチューム。ご丁寧に帽子と白い手袋付きだ。

「ちょっと前に流行った、幻想大正ナントカ浪漫、とかいう、ゲームのキャラの衣装だって。知ってる?」

「女向けの恋愛ゲームだろ。タイトルだけは聞いたことある」

 衣装が入っていたパッケージを見ると、もともとのキャラクターは、この軍服風のファッションに長い銀髪というデザインのようだ。

「で、なんで俺が、こんなモン着なくちゃなんねえんだよ」

「言ったじゃん。デートの約束、三回連続でドタキャンしたお詫びに、あたしの言うこと、何でもひとつ、聞いてくれるって」

「そりゃ、確かに言ったけどよー」

 同棲してから、二年あまり。彼がいつも仕事で忙しいことは、良くわかっている。

 でも、それを理由に何度も約束をすっぽかされれば、さすがに腹が立つ。しかも三回目は、千沙の誕生日だった。

「悪かった。謝る。ほんと、ごめん!」

 平身低頭、一生懸命謝る智司は、

「誕プレ替わりだ。おまえの言うこと、ひとつ、どんなことでも聞いてやる!」

 と言ったのだ。

 豪華なホテルディナーとか、いっそダイヤの指輪とか、いろいろ考えたが、最後にふと思い出したのが、忘年会のビンゴで当たった、このコスプレ衣装。

 こんなもん、どーしろってのよ、と思っていたけれど。

 ――ちょうどいいじゃん、これ。

 仕事人間、女ゴコロのわからない堅物彼氏に、似合わないド派手な恰好をさせ、こっ恥ずかしい思いをさせてやる。そう、決めたのだった。

「別にそのカッコで街歩けとか、なんかのイベント行ってこいとか、言ってんじゃないし。この部屋ん中で、ちょっと着てみせてよって、ただそんだけじゃん!」

 内心、どんなヘンテコな姿になるか、と思っていたのだが。

 実際に着てみると、意外と様になる。

 もともと背は高いほうだし、スタイルも悪くない。彫りの深い顔立ちに不機嫌そうな表情は、かちっとした帽子が影を落とすせいか、銀髪のカツラがなくても、ゲームキャラの雰囲気が漂う。

「え……、うそ――」

「何が嘘だ。おまえが着ろっつったんじゃねーか!」

「ち、ちょっと待って。待って。ほら、これ。ね、ちょっと、このセリフ、言ってみてよ」

 千沙は、スマホの液晶画面を彼の前に突き出した。

 そこには、ゲームキャラと、その決め台詞が表示されている。

「はあ? アホか、おまえ」

「いーから! ほら、このポーズ、真似して!」

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